2007年
年末年始は来客が多い。おもてなし料理の代表格、ローストビーフを家庭で作ってみてはいかがだろう。調理は面倒そうな印象があるが、実はフライパンで、かたまり肉を焼くだけで見栄えよく豪華に仕上がる。薄く切ってお重に詰めれば、おせちの一品にもなる。
ローストビーフは、牛のかたまり肉を焼いて作る。一般的にはオーブンを使用するが、料理研究家の栗山真由美さんは「家庭で食べるぐらいの分量ならフライパンで作れます。意外と短時間でおいしくできます」と話す。ソースを何種類か用意すれば、様々な味を楽しめる。
まずは、フライパン・ローストビーフの作り方から。用意するのは牛のもも肉400g。冷蔵庫から取り出し、約1時間ほど置いたものを使う。冷えすぎた肉は、火が通りにくくなるので注意が必要だ。
「ローストビーフは短時間で作ることができるので、ぜひ作ってみて」と栗山さん(東京・港区で) 〈肉全体に塩と粗びき黒コショウを振り、手でよくすり込む。フライパンにサラダ油とつぶしたニンニクを加え、弱火にかける。油にニンニクの香りをしっかりと移したら、ニンニクは取り出す。
強火にして肉を入れ、焼きつける。表面全体に軽く焼き色がついたら、赤ワインを加える。ふたをして弱火で8分ほど蒸し焼きにする。途中、ふたは取らず、火を止めた後もそのまま10分置いておく〉
「この間にうまみが凝縮しますから焦らずに待って。肉の中がピンク色になるよう仕上げますが、生っぽいのが苦手な人は、焼き時間と蒸し時間を少し長くして」と栗山さん。
肉はすべての面に焼き色をつける 肉をフライパンから取り出し、5ミリ程度の薄切りにしたら出来上がりだ。
ビロードのような舌触り。肉の甘みも感じられ、美味だ。肉のかたまりを保存する場合は、アルミホイルに包んでおくと肉汁が流れ出にくい。
ローストビーフと彩りの美しい野菜を組み合わせると、おいしいサラダが手軽にできる フライパンに残った蒸し汁を利用した赤ワインソースはぜひ試してみたい。
〈蒸し汁を煮立たせ、はちみつ、しょうゆ各大さじ1杯を加える。再沸騰したら全体を軽く混ぜ、火を止める〉。こくとうまみが詰まっていて、一流レストランのような味わいだ。
まろやかなクリーミーマスタードソースもお勧め。
〈器に粒マスタード小さじ2杯、マヨネーズ大さじ2杯、牛乳同1杯を入れ、よく混ぜる。味をみて、塩とコショウで味を調える〉。お年寄りから子どもまで楽しめる味だ。
香りのいいユズコショウやワサビじょうゆなどで食べてもいい。
薄切りにした肉と野菜を組み合わせ、アレンジサラダにしても。
〈ローストビーフは一口大に切る。レタス、クレソン、トマト、マッシュルームも食べやすい大きさにする。ボウルにオリーブ油、レモン汁、塩、砂糖、コショウを入れて混ぜ、肉と野菜をよくあえる。パルメザンチーズを振りかける〉
「ローストビーフは食卓にのせるだけで、華やかな雰囲気を演出できます。ぜひ挑戦して」と栗山さんは勧める。
【材料4人分】
■フライパン・ローストビーフ 牛かたまりもも肉400g/サラダ油大さじ1杯/塩小さじ1杯/粗びき黒コショウ小さじ1/4杯/ニンニク1片/赤ワイン1/2カップ
■アレンジサラダ ローストビーフ3枚/レタス2枚/クレソン1/2束/トマト1/2個/マッシュルーム2個/パルメザンチーズ適宜→ドレッシング(オリーブ油、レモン汁各大さじ1杯/塩、砂糖各小さじ1/3杯/コショウ少々)
(2007年12月28日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20071228gr01.htm